大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和23(れ)1586 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人尾中勝也の上告趣意第一点について。

原審第三回公判調書によれば、裁判長は、証人Aに対しては刑事訴訟法二百一条

の規定に該当しないことを認め偽証の罰を告げ宣誓をさせた旨、また、証人Bにつ

いては同法一項四号に該当することを認め宣誓をさせない旨同公判調書に明記され

ているから、自然その前提として同法二百一条の規定に該当する者であるか否かを

取調べたこと、従つて当然同条一項四号にいわゆる一八六条一項に規定する関係あ

る者であるか否かをも取調べ、その結果前記公判調書記載のごとく証人Aについて

は同条の規定に該当しないことを認め偽証の罰を告げ宣誓をさせたものであり、ま

た、証人Bについては同条一項四号にいわゆる一八六条一項に規定する関係すなわ

ち被告人の実父であることを認め、証言を拒むことを得る旨を告げたところ証言を

拒まなかつたので、その結果前記公判調書記載のごとく同法一項四号に該当するも

のと認め宣誓をさせなかつたものであると認めざるを得ないのである。しかのみな

らず、証人Bは、被告人の実父であつて、弁護人から被告人の利益のために申請さ

れた証人であり、原判決も被告人の利益のためその心神耗弱の状況にあつたことを

認定する資料としたものであること記録上明白であるから、同証人は、証言を拒ま

ないどころか寧ろ進んで証人として供述したものであることを窺い知るに充分であ

る。されば、論旨は、その前提を欠き採用することはできない。

同第二点について。

刑法二三五条窃盗罪の法定刑は十年以下の懲役で、同法五六条、五七条の加重を

しても二十年以下の懲役であつて、同法一四条の制限を超えないから、特に同条を

適用する必要はない。また、同法七二条のような総則規定は、法律適用上同条に従

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つていることが明らかであれば足り、旧刑訴三六〇条所定の罪となるべき事実に対

する法令の適用としてこれを示す必要のないものである。されば、本論旨も採用で

きない。

同第三点について。

所論再審事由は、前科の確定犯罪について心神耗弱による減軽事由があることを

新らたに本件の当審で主張するに帰するものであるから、前科の確定判決に対する

再審事由といえないばかりでなく、本件の犯罪について再審事由にならないことも

その主張に照らし明白である。されば、所論憲法違反の主張は既にその前提におい

て到底採用し難く、また、本件のような旧刑訴事件について刑訴四一一条の適用の

ないこと刑訴施行法二条により明白であり、従つて、所論量刑不当の主張は刑訴応

急措置法一三条二項の規定により適法な上告理由となし難い。

よつて、旧刑訴四四六条に則り、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決す

る。

検察官 宮本増蔵関与

昭和二七年一二月一一日

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 岩 松 三 郎

裁判官 真 野 毅

裁判官 斎 藤 悠 輔

裁判官沢田竹治郎は、退官したので署名押印ができない。

裁判長裁判官 岩 松 三 郎

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